土木技術技術・サービス

土木技術

都市のランドスケープを彩るさまざまな現場に
長年培ってきた確かな技術とチーム力でお応えします

トンネル、地下通路などのインフラから雪国ならではのスキージャンプ台まで。当社は北海道の土木分野のパイオニアとしての実績を重ねてまいりました。
施工はもちろん調査・設計業務にも対応。豊富な経験とそれに基づく技術力で、様々なニーズにお応えします。

トンネル

北海道の地形と自然環境に対応する豊富なトンネル施工実績

トンネルは地域社会にとって重要なインフラです。当社は、地表面の土地利用に配慮したトンネル、極寒の山間地のトンネル、自然環境保護も視野に入れたトンネルなど、北海道の地形や自然環境条件に合わせたトンネル工事において、豊富な施工実績を重ねてまいりました。

地表面の土地利用に配慮したトンネル工事
(函館新外環状道路 見晴トンネル)

地表面の土地利用に配慮したトンネル工事

函館新外環状道路整備事業の一環として施工した見晴トンネルは、函館市街地に近接した全長799mの山岳トンネルです。本トンネルの特徴は、最大でも26.5mしかない低土かぶりトンネル型のトンネルで、地表面がゴルフ場などとして利用されていることから、沈下量を地表面への影響を避けることが課題となりました。また、本工事では、各種ICTの活用、覆工コンクリート養生工法の開発、安全の見える化などに取組み、2019年3月に無事竣工しました。

位置図位置図

位置図

見晴トンネル起点側坑口見晴トンネル起点側坑口

見晴トンネル起点側坑口

地表面沈下抑制への取組み

FEM 解析・前方探査

低土被り地形で脆弱な地質である本トンネルを掘削するにあたり、二次元FEM解析を実施して、トンネル天端と地表面の沈下量を予測するとともに、穿孔探査(DRISS)を導入して、切羽(トンネル掘削面)前方の地質状況をより正確に把握しました。

二次元FEM解析二次元FEM解析

二次元FEM解析

沈下管理とトンネル掘削の方法

トンネル掘削面を早期に支保して沈下を抑制するため、ベンチ長を 1D(L=12m)程度に抑え、補助工法 AGFを施工しながら掘削作業を進めました。
水道配水管(直径800㎜) 直下の掘削では、事前に電磁探査を実施して管の位置を特定し、管手前に地中変位計、管直上に警報メールを自動送信できる GPS 自動計測機を設置して、変位を常時観測しました。
携帯基地局も同様に GPS 自動計測機による常時観測、レベルによる相対沈下計測、コンクリート基礎に設置した傾斜計により常時監視を行いました。
トンネル掘削においては、ロックボルトの長さを4mから6mに変更し、また、インバート吹付け(20㎝)を実施して早期に閉合しました。吹付けコンクリートは、早期に効果を発揮させるため高強度配合(σ3h=2N/mm2、σ28=36N/mm2)を採用しました。

トンネル掘削作業トンネル掘削作業

トンネル掘削作業

効果

これらの取組みにより、配水管直上部及び鉄塔基礎周辺部における地表面沈下は 10~13mm に収まり、インフラ施設への影響を避け、安全に施工を進めることができました。

インバート吹付けによる早期閉合インバート吹付けによる早期閉合

インバート吹付けによる早期閉合

各種ICT技術への取り組み

3Dレーザースキャナによる出来形計測

NETIS 登録技術である三次元レーザースキャナ「3D-TUBE」を採用し、トンネル覆工の出来形管理の省力化を図りました。

3D 計測状況と点群データ3D 計測状況と点群データ

3D 計測状況と点群データ

スマートセンサ型枠による脱型強度の確認

NETIS 登録技術である「スマートセンサ型枠システム(図-7)」を北海道内のトンネル工事において初めて採用し、覆工コンクリートの脱型強度(2.94N/mm2)を確認しました。

無線LAN によるデータ収集無線LAN によるデータ収集

無線LAN によるデータ収集

ドローン計測と3DモデルCIMの活用

貫通点側の坑口において、ドローンによる計測を行い、現況を反映した3DモデルCIMを作成しました。このモデルは、各種競技ウィ進めるうえで現地条件を説明しやすい資料として活用することができました。また、仮設備計画の立案や現場作業者への工程説明、安全教育の資料としても非常に効果がありました。

現地条件を反映させた3D モデルCIM現地条件を反映させた3D モデルCIM

現地条件を反映させた3D モデルCIM

覆工コンクリートの養生システム開発
~ハイブリッド養生システム~

本工事では「100 年先でも丈夫なトンネルを目指そう!!」というスローガンのもと、覆工コンクリートの品質向上のため、各施工段階において様々な創意工夫を凝らしました。
その中でも、本工事では覆工コンクリートの養生システム「ハイブリッド養生システム」を開発し、その品質向上の効果を認定され、2019年4月、新技術情報提供システム NETISにHK-190001-Aとして登録されました。

ハイブリッド養生システムハイブリッド養生システム

ハイブリッド養生システム

安全の見える化への取組み

現場における各種リスクの低減、及び建設業やトンネル工事のイメージアップを図りたい、という目的のもと「安全の見える化」にも取り組みました。

監視員・誘導員の見える化

切羽監視責任者や大型車両の誘導員のヘルメットには、360 度発光するフラッシュリングを付けて重機・車両との接触防止対策としました。また、切羽監視責任者は、坑内の安全掲示板に顔写真付きで掲示して、関係者に分かりやすく周知しました。

切羽監視責任者の見える化切羽監視責任者の見える化

切羽監視責任者の見える化

作業内容の見える化

トンネル坑口と坑内の安全通路には電光掲示板と、2色のパトライトを設置して坑内の作業状況と、立入可・立入禁止を作業者及び第3者に判り易すく明示しました。

坑内作業状況の見える化坑内作業状況の見える化

坑内作業状況の見える化

安全メッセージの見える化

視認性が高い電光掲示板(デジタル文字シート)を活用して、安全メッセージを判り易く表示しました。この取組みは厚生労働省の平成29年度の安全の見えるコンクールで優 良事例に選出されました。

電光掲示板による安全メッセージ電光掲示板による安全メッセージ

電光掲示板による安全メッセージ

以上の取り組みにより、トンネル掘削は平均43m/月の速度で進み、約1年半かけて貫通しました。そして現在、2021年3月に全線開通した函館新外環状道路・空港道路の重要構造物として、地域住民の利便性向上および物流の効率化、広域周遊観光の活性化に本トンネルは“大活躍”しております。

極寒の山間地における覆工・坑門工コンクリートの長寿命化を目指す
(北海道横断自動車道 カラマン別トンネル)

安全で経済的なインフラを社会に提供するため、高品質で耐久性に優れたコンクリート構造物を構築することは、建設会社の使命です。当社は、主に北海道でコンクリートの施工技術をこれまで磨いてきました。北海道横断自動車道のカラマン別トンネル工事は、重要な社会資本である高規格道路のトンネル構造物の長寿命化を目指したものです。
カラマン別トンネル工事では、高性能AE減水剤や多機能型AE減水剤を使用した高品質コンクリート配合、施工時のひび割れ対策、天端へのコンクリートの確実な充填、超音波加湿養生システムやシラン系表面含浸材を使用したコンクリート養生などの創意工夫に取り組みました。また、施工後にはコンクリートの表面透気性試験や鉄筋の非破壊検査などを行い、創意工夫の効果を確認しました。
これらの取り組みが評価され、2014年度の北海道開発局優良工事として局長表彰を受賞しました。

札幌側の坑口 2013年10月撮影

知床の自然環境を守るウォータータイトトンネル
(道道知床公園羅臼線 マッカウストンネル)

知床世界自然遺産エリアに近接するマッカウストンネルでは、希少種のヒカリゴケが群生するマッカウス洞窟に隣接し、トンネル工事の影響が懸念されました。
そのため、ヒカリゴケの生育環境の保全対策としてウォータータイト(非排水防水型)トンネル区間を150m施工しました。

マッカウストンネルの位置マッカウストンネルの位置

マッカウストンネルの位置

マッカウストンネル(2013年10月)マッカウストンネル(2013年10月)

マッカウストンネル(2013年10月)

ウォータータイトトンネルとは

ウォータータイトトンネルは、様々な創意工夫や細部までの配慮が必要となり、非常に難易度の高い工事です。
通常の山岳トンネルは排水型トンネル(図2)で、完成後の自然水位の復元は望めません。ウォータータイトトンネル(図3)では、完成後徐々に自然水位が回復するように、トンネル全周に厚手の防水シート(マッカウストンネルでは2mm厚)を設置して、トンネル内への地下水の流入を防止します。トンネルに作用する水圧を分散させるために、トンネルの断面が真円に近くなってインバート部が深くなるという特徴があります。
2013年当時、我が国での施工例が少なく、北海道内の道路トンネルでは本トンネルが初めての施工となりました。
当工事では、2013年10月に竣工から地下水位がトンネル天端以上となってからも坑内への漏水がなく、技術の有効性を確認しています。

通常の排水型トンネル通常の排水型トンネル

通常の排水型トンネル

ウォータータイトトンネルウォータータイトトンネル

ウォータータイトトンネル

防水性能向上を実現させた技術

背面平滑型トンネルライニング工法(FILM)

※ 特許第4044719号 前田建設工業株式会社
マッカウストンネルでは防水シートと吹付けコンクリートの間にモルタルを充填するFILM工法を採用して、高度な防水構造を目指しました。また、シートの損傷を目視で容易に確認できるシグナルレイヤー型の防水シートや、覆工目地部の止水性能を向上させるウォーターバリアも活用しています。

FILM完了FILM完了

FILM完了

インバート部の施工方法

全周を防水するウォータータイトトンネルは、上載荷重を受けるインバート部分にも防水シートを設置するので、設置箇所に突起や凹凸による防水シートの損傷が懸念されます。マッカウストンネルでは、インバート吹付けの表面を滑らかにするためにモルタルで仕上げ吹付けを行ってから、防水シートを施工しています。

インバート仕上げ吹付けインバート仕上げ吹付け

インバート仕上げ吹付け

全周に設置した防水シート全周に設置した防水シート

全周に設置した防水シート

アーチ部分の施工方法

通常のトンネルでは、防水シートを貫通させて鉄筋組立用吊金具を設置しますが、より高度な防水性能が要求されたマッカウストンネルでは吊金具の使用を避け、鉄筋組立用の鋼製支保工H-100を使用しています。また、漏水の原因となるアーチ部の空隙をなくすために、型枠バイブレータを40台使用してスランプフロー値42.5cmの中流動コンクリートを打設しています。

アーチ部の鉄筋組立アーチ部の鉄筋組立

アーチ部の鉄筋組立

覆工コンクリートの施工覆工コンクリートの施工

覆工コンクリートの施工

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