雪冷房
自然を活用した冷房システムで
地球環境にやさしい快適な空間を実現
北海道の冬の象徴・雪が夏の冷房に活用される「雪冷房」。この自然エネルギーの活用により、省エネ、二酸化炭素の排出抑制、空気清浄効果、マイナスイオン発生効果などを実現し、地球環境と資源を大切にしながら快適な空間を提供します。
雪冷房とは
雪冷房とは、冬の間に降った雪や、冷たい外気を使って作った氷を保管し、夏に冷熱エネルギーとして活用するものです。
寒冷地である北海道の気象特性を活かした取り組みとして、注目を集めています。
このシステムは自然エネルギーの活用や省エネ、二酸化炭素の排出抑制、空気清浄効果、マイナスイオン発生効果など、地球環境と資源を大切にしながら快適な空間を提供する、北国に適した冷房システムです。
導入・施工事例
モエレ沼公園ガラスのピラミッド (浸水式冷水循環雪冷房)
2003年7月にオープンした北海道札幌市の『モエレ沼公園ガラスのピラミッド』 (愛称:ひだまり)の施工を担当しました。
隣接する33mx21mの大きな地下貯雪庫に雪が貯蔵され、夏期には雪の融解水から熱交換を行い、ピラミッド部分であるアトリウムを冷房しています。
名称 | モエレ沼公園ガラスのピラミッド (ひだまり) |
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工期 | 2001年2月~2003年4月 |
発注 | 札幌市 |
設計 | アーキテクトファイブ・横河 共同企業体 |
施工 | 伊藤・岩倉・藤井・菱中・山崎 共同企業体 |
面積 | 3,863.699m² (建築面積) 5,328.505m² (延面積) |
構造 | 地上4階、棟屋1階建て |
貯雪量 | 1,580t (浸水式冷水循環雪冷房) |
北海道洞爺湖サミット 国際メディアセンター (全空気式+冷水式雪冷房)
2008年7月に開催された北海道洞爺湖サミットでは、「環境」がメインテーマとして扱われており、国際メディアセンター の空調にも雪冷房が利用されました。
雪室雪投入 (ロータリー)状況 (外部)
雪室雪投入状況 (内部)
新千歳空港クールプロジェクト (雪山利用)
北海道の玄関口である新千歳空港では、空港内に積もった雪を夏まで保存し、ターミナルビルでの冷熱利用と、融解水による水質汚染防止の利用を行っています。その一環として北海道洞爺湖サミット開催時にもさまざまな取り組みを行いました。
雪山の断熱材実験 (チップMt.)
滑走路の横に、木質チップ材を断熱材として使用した雪山を築造しました。
サミットプレス棟の雪冷房
北海道の自然エネルギー利用技術をPRするため、各国報道陣用の施設に雪冷房を導入しました。
名称 | 合同事務所棟雪冷房装置設置等業務 |
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発注 | 国土交通省東京航空局 |
雪中桜の展示
雪山内に桜枝を保存してサミット時に満開に咲かせるという取り組みを行い、各国代表を日本の美しい花で迎えました。
発注 | 国土交通省東京航空局 |
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協力 | 美唄自然エネルギー研究会 江別土器の会 |
雪冷房コンテナ
SCSコンテナⅠ
イベント会場や仮設建物、農業施設など、電気冷房機を設置するほどではない施設に最適です。石炭ストーブに石炭が補充されるように、貯雪庫や雪山から雪を運び補充することができ、連続して冷房を提供できる仕組みです。
方式 | 散水式冷水循環方式 |
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収蔵雪量 | 1.5t |
冷房出力 | 5~8kW |
SCSコンテナⅠ
SCS技術基礎実験 (雪下空冷実験)
SCSコンテナⅡ
1号機の改良版として、汎用型の2号機を開発しました。給雪量が増え、農業用コンテナを利用することで人力で雪をカセット式に追加でき、給雪作業が格段に容易になりました。
また、シャワー方式から浸水式に変更し、安価で安定的な冷熱取得が可能となりました。
空気循環式との併用型にも対応可能です。
方式 | 浸水式冷水循環方式 |
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収蔵雪量 | 2t |
冷房出力 | 19kW |
SCSコンテナⅡの給雪作業
コンテナ断面概略図
SCSコンテナⅢ (室蘭工業大学と共同開発)
1号機、2号機は冷水を媒体とした冷水循環式装置でしたが、簡便性を追求し、空気を媒体とした全空気式装置の開発に取り組みました。
空気冷却循環による空気の浄化作用 (雪のフィルター効果)も期待できます。
方式 | 全空気方式 |
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収蔵雪量 | 3.6t |
冷房出力 | 2~5kW |
SCSⅢの外観
雪棚式装置の内部
縦穴式装置の断面図