「もっと若手の意見を取り入れてはどうか」
「社外の方や学生から見ても好印象を持ってもらえるようにしたい」
CHAPTER01
当社がこれまで使用していたユニフォームは、2017年2月に導入されたものでした。
しかし、近年の夏の猛暑や、2022年に義務化されたフルハーネス型の墜落制止用器具との相性など、実際の現場ではさまざまな課題が生まれていました。とくにフルハーネスを装着するとポケットが使いづらくなるなど、日々の業務に支障が出るようなケースもあり、改善の必要性が高まっていたのです。

こうした現場からの声を受け、2023年の夏ごろからユニフォームのリニューアルに向けた調査と検討がスタート。
同年10月には、全社員を対象としたアンケートを実施し、現在のユニフォームに関する意見や改善の要望を幅広く集めました。
「もっと若手の意見を取り入れてはどうか」
「社外の方や学生から見ても好印象を持ってもらえるようにしたい」
──そうした声が多く寄せられたこともあり、調査結果は経営陣に報告され、全面的なリニューアルの実施が正式に決定されました。

2024年1月には、本支店や作業所から若手社員を中心にメンバーを選出し、「作業服リニューアルプロジェクトチーム」が発足。
これからの伊藤組土建を担っていく世代が、ユニフォームを通して“働く姿勢”を考えるプロジェクトが始まりました。
CHAPTER02
プロジェクトチームのメンバーには、建築・土木・設計といった現場で日常的にユニフォームを着用している社員に加えて、総務・人事・営業など、社外の方や学生と接する機会が多い部署のメンバーも参加しました。
それぞれ異なる立場や視点を持つ社員が集まり、多角的に「理想のユニフォームとは何か」について意見を出し合うことが、このチームの出発点でした。
まず、プロジェクトの初期段階で共有されたキーワードは、
「多くの社員に愛着を持ってもらえるユニフォーム」
「現場作業が快適に行えるユニフォーム」
「学生など社外の方に好感を持ってもらえるユニフォーム」
という3つの軸。
誰にとっても“着るべき理由”があるユニフォームをつくることが、このプロジェクトのゴールとして設定されました。
また、建設業界では女性技術者の増加が進む中で、当社にも毎年女性社員が入社しています。にもかかわらず、これまでのユニフォームは男性中心の設計となっており、女性にとっては不都合が多いものでした。
そこで今回のプロジェクトでは、男女問わず使いやすい設計を重視し、実際に5名の女性社員がチームに参加。全体ミーティングだけでなく、自主的に話し合いを重ねながら、現場のリアルな声を丁寧に形にしていきました。
CHAPTER03
メンバーそれぞれの立場や業務、さらに好みや価値観まで違えば、ユニフォームに求めるものもまたさまざまです。
たとえば会社ロゴの扱いひとつ取っても、
「企業のシンボルだから、大きく目立たせるべき」
という意見がある一方で、
「ロゴは隠せる仕様がいい」
といった声も上がりました。
一人ひとりの目線が異なるからこそ、様々な意見が上がり、チーム内では活発な議論が続きました。
CHAPTER04
リニューアルにあたって、まずはプロジェクトチームでユニフォームに求める仕様やデザインの要望を整理。
それをもとに、複数のメーカーに対して新ユニフォームの提案を依頼しました。
各社から寄せられた提案は、どれも完成度が高く、どれを選ぶか簡単には決められないほど。
機能性・素材・デザイン──あらゆる要素を比較検討しながら、各メーカー担当者と何度もディスカッションを重ねていきました。
デザインについては、社内の好みや印象も反映させるため、プロジェクトチームによる検討に加えて、社員向けのアンケートを実施しました。
これらの結果を基に、ミズノ株式会社を制作メーカーに決定しました。
CHAPTER05
ミズノ社を迎えたプロジェクトは、いよいよ試作フェーズへ。
まずはこれまでの議論やアンケート結果をもとに、具体的な仕様とデザインの詰めを行い、サンプル制作に着手しました。
生地の色は、ネイビーとチャコールグレーの2色に候補を絞り、アクセントには当社のコーポレートカラーに近いブルー系を採用。 この時点で完成した2パターンの試作品は、イラストと実物のギャップが大きく、一部は“ゼロベース”で見直す必要があると判断されました。
実際に現場で働く社員からも、使用感やデザインについての率直な声を集めるため、試作品を手に、各地の支店・営業所や作業所でヒアリングをスタートしました。


ポケットの配置や生地の厚み、アクセントカラーの印象など、多くの現場から真剣なフィードバックが寄せられました。
“現場で着る人たち”の声が、ユニフォームの完成に確実につながっていきました。
CHAPTER06
現場の声をもとに、生地の色や素材、アクセントの配色、ロゴの位置やサイズまで──。
細部にわたって、文字通り“ミリ単位”での調整作業が進められました。
たとえば、襟の高さやファスナーの長さ、ポケットの位置や開閉方向。
実際の作業動作を想定しながら、使いやすさと見た目のバランスを何度も検証。


会社のロゴは、「どこに・どんな素材で・どのくらいの大きさで入れるか」まで議論を重ね、企業としてのイメージと、着る人の感覚との間でちょうどよいバランスを探っていきました。


2025年1月上旬。
すべての要素を反映した“最終形”がついに完成しました。






CHAPTER07
建設会社にとって、ユニフォームはただの作業着ではありません。
作業の安全性や効率を支える道具であり、企業としての姿勢やイメージを伝える、大切な“顔”でもあります。
そんなユニフォームの全面リニューアルを、若手社員たちに託された今回のプロジェクト。
それは、年次や経験にとらわれず挑戦を後押しする社風と、変化を恐れず未来に向かおうとする会社の意思を象徴する取り組みでもありました。
ミズノ社をはじめとする関係各社の皆さまのご協力のもと、プロジェクトは無事完遂。
あらためて、心より感謝申し上げます。
完成したユニフォームには、機能性や快適性、そしてデザインだけでなく、 “自分たちで考えてつくった”という誇りと想いが込められています。
この一着とともに、私たちは50年後、100年後にも選ばれ続ける企業を目指し、 変わりゆく時代の中でも、変わらない価値を届けられるよう、これからも新たな挑戦を続けていきます。